日本の食用玉ねぎ栽培発祥の地「札幌」で初めて栽培された玉ねぎ「札幌黄」のいいとこ取りをした後継品種となる玉ねぎの代表に「さつおう」という品種があります。

札幌黄」は日本の歴史的にも価値ある玉ねぎであり、国際スローフード協会主催 食の世界遺産「味の箱舟」プロジェクトにも登録され、味にも定評のある「幻の玉ねぎ」です。

知る人ぞ知る人気の玉ねぎ「さつおう」は、平成19年(2007年)に、札幌市、JA札幌、植物育種研究所(夕張郡栗山町)が共同開発した、札幌黄」の美味しさをそのままに、耐病性や貯蔵性の向上(腐りにくく長持ち)と作業性を向上(形・大きさの均一化と生育期間の安定化)させたF1品種玉ねぎです。

札幌黄」同様、加熱すると甘味が増し、シチューやカレー、肉じゃがなどの煮込み料理のほか、炒め物などにもとても合います。

「さつおう」の名前の由来は(命名当時)
1.基の品種となる「札幌黄」(さっぽろき)の「黄」(き)が「おう」と読めること。
2.「札幌黄」の美味しさはそのままに耐病性や作業性が悪いという弱点を克服したことで、札幌で生産される玉ねぎの王様になって欲しいという願いを込めて。

上記理由により、「札幌」の「札」(さつ)+「黄」の「おう」と「王様」の「王」(おう)を掛け合わせて、平仮名で「さつおう」と命名されました。

また、「札幌黄」同様、「さつおう」も札幌市内の学校給食で使用されており、比較的新しい品種ではありますが、品質や安全性が認められている玉ねぎと言えます。

ただ、「さつおう」の生産量は「札幌黄」よりも少ないため(種苗販売数より判断)、「札幌黄」よりも消費者の皆さんの元に届くことが多くない玉ねぎであり、そうした意味では「さつおう」も「札幌黄」同様「幻の玉ねぎ」と言っても過言ではないと言えます。(現在、「札幌黄」に比べるとJAや札幌市の力の入れ方も弱めなようで...(T-T)) ※JAや札幌市をディスっている訳ではありませんよ(゚д゚;)

話は少し逸れますが参考までに、「さつおう」や「札幌黃」と一般的な玉ねぎの品種ごとによる味の違いにどれほどの差があるのか?ということで言うと...私個人の生産者バイアス(栽培者本人のひいき目)を排除した(つもりの)シンプルな消費者目線での感想としては...正直なところ特別大きな差は感じられませんでした!判らなかったものは判らなかったんです(T-T) 舌が肥えた方なら判るのではないでしょうか( ´_ゝ`)食べ方にもよる違いもあるかとは思いますが、ごく一般的な玉ねぎと食べ比べたところ、「札幌黃」も「さつおう」もとても甘くて美味しい味です。あえて違いを感じたところとしては、「札幌黄」は含まれる水分が多いため加熱調理しすぎると溶けてしまうことがあるのに比べて、「さつおう」は身がしっかりしているので結構加熱してもしっかりと食感が残るというところでしょうか。使う料理や調理方法による向き不向きがあるのではないかと思います。味はどちらも「玉ねぎってこんなに美味しく食べられるんだ」と感じました。(皮をむいて丸ごとラップでくるんで電子レンジで10分程度加熱して食べました。味付けはお好みで。)

そんな玉ねぎの品種の一つの「さつおう」ですが、当時の玉ねぎ生産者・行政・協力組織が「玉ねぎ界の期待の星!」とまでは言わずとも、札幌の玉ねぎ農家に生産者としての楽しさや喜び、全国の玉ねぎ消費者に安心・安全な食材の提供と食べた時の喜びや満足を得てもらいたいという期待が込められて誕生したことが「さつおう」という名前からも(私が勝手に)感じられ、個人的に作り続けていきたいと思う玉ねぎです。

購入できる機会の少ない「さつおう」ではありますが、もし、「さつおう」が売られているところを見掛ける機会がありましたら、「これが札幌の玉ねぎの王様なんだ」と感動を覚えつつ(感動するかしないかは各個人に任せます(^^;)一度食べてみていただけると「さつおう」生産者として大変励みになります。

札幌黃」の後継品種ですので、味が良いのは勿論のこと、保存方法さえ普通にキチンとしていれば断トツに長持ちする品種の玉ねぎですので、贈り物としても安心してお使いいただける玉ねぎです。

現在「さつおう」は「玉ねぎの王様」感は全くもって皆無な状況ですが、ベジファームハセでは安定した美味しさと安心できる品質の玉ねぎをお届けしたいという思いから「さつおう」の生産を継続しています。